今年もルマン24時間レースの季節がやってきた。日が一番長い時期に行われる自動車の24時間耐久レースだ。1997年に日産の仕事でプロジェクトの一員として、ポルトガル・エストリルサーキットでのシェイクダウン、ルマンでの予備予選、そして決勝ウィークと帯同した。
ニッサン R390GT1 シェイクダウンテストの時は、前日まで極寒の日産陸別テストコースで撮影をし、翌日はパリ経由でリスボン入りというスケジュール。おかげで体調はよくなかったが、エストリルでの日産、ニスモ、TWR(トムウォーキンショーレーシング)との仕事はいい思い出だ。
決勝では我らがニッサン R390GT1 が素晴らしい走りを見せ、うまくいけばトップを、という時にオフィシャルからクレームが付き、車検を通過しているのにも関わらず車体の改修を命じられ、トップ争いから脱落したのが無念であった。
決勝のスタートは最終コーナーから500ミリで撮影していたのだが、ルマン式スタートを真後ろから堪能できた。モンスターマシンが集団でストレートになだれこんで、一斉に全開で第1コーナーに飛び込んでいく様と大音響は今でも忘れられない。
またルマン名物6キロの直線"ユノディエール"では、ワークスマシンが通過する度に、コースサイドのガードレールが空気の振動でビリビリと震え音を発していた。さすがに真横を時速400キロ近いスピードで(予選では400キロを軽くオーバーするクルマもある)マシンが走るのは壮観であった。
レースも素晴らしかったが、観戦しているお客さんや雰囲気がとてもよかった。皆思い思いにレースを楽しみ、飲んで歌い踊っていた。キャンプをしている人々や、ミュルサンヌの森で結婚式を挙げていたカップルを撮影させてもらった記憶がある。
さて今年はどんなドラマが待っているのか?